吸虫
吸虫
ポイントとなる部分は、「雌雄異体か雌雄同体か？」、「似ている虫卵の鑑別点」
「中間宿主と感染経路」、「感染源がセルカリアかメタセルカリアか？」、そして、
「寄生部位」といったところ
日本住血吸虫
日本住血吸虫
線虫様外観、雌雄異体、卵蓋なし
疾患
日本住血吸虫症
急性期・・皮膚炎、粘血便、下痢、発熱・・
慢性期・・肝硬変
ミヤイリガイの生息地で発生
広島県片山地方、山梨県甲府盆地、静岡県沼津、筑後川、利根川
終宿主、寄生部位
ヒト 門脈系静脈 ウシ イヌ ネコ ネズミ・・
中間宿主
ミヤイリガイのみ
感染源
セルカリアの経皮感染
虫卵
糞便中 70～100μm ミラシジウム 卵蓋なし 小突起
AMSⅢ法、遠心沈殿 ⇒ セロファン厚層
肝生検
生活史の特徴
経皮感染 ⇒ 血流 ⇒ 門脈
マンソン住血吸虫
マンソン住血吸虫
アフリカ、南米、カリブ海諸島
線虫様外観、雌雄異体、卵蓋なし
疾患
日本住血吸虫症に似る
終宿主、寄生部位
中間宿主
淡水貝
感染源
セルカリア 経皮感染
虫卵
糞便中 114～182μm ミラシジウム 卵蓋なし 一側に大きな棘
AMSⅢ法、遠心沈殿 ⇒ セロファン厚層
肝生検
生活史の特徴
経皮感染 ⇒ 血流 ⇒ 門脈
ビルハイツ住血吸虫
ビルハイツ住血吸虫
アフリカ全域 ナイル川で濃厚、中近東、インド西部
線虫様外観、雌雄異体、卵蓋なし
疾患
血尿、排尿痛
終宿主、寄生部位
主に膀胱内に寄生 肛門付近静脈叢
中間宿主
貝
感染源
セルカリア 経皮感染
虫卵
尿沈渣 112～170μm ミラシジウム 卵蓋なし 後方に大きな棘
肝吸虫
肝吸虫
疾患
ほとんど不顕性感染
肝硬変
終宿主、寄生部位
ヒト イヌ ネコ ネズミ・・・胆管内
中間宿主
第1・・マメタニシ （セルカリア）
第2・・モツゴ、コイ、フナ、タナゴ （メタセルカリア）
感染源
第2中間宿主の生食 メタセルカリア（被嚢幼虫）経口摂取
虫卵
糞便、十二指腸液 27～32μm ミラシジウム 陣傘状の卵蓋（殻から横に突出）
AMSⅢ
生活史の特徴
寿命20年以上にも及ぶケースある
横川吸虫
横川吸虫
疾患
ほとんど不顕性感染
多数寄生で腹痛や下痢、まれに腸閉塞、穿孔
終宿主、寄生部位
ヒト 小腸粘膜 （保有宿主 イヌ、ネコ）
中間宿主
第1・・カワニナ （セルカリア）
第2・・アユ、シラウオ、フナ、ウグイ （メタセルカリア）
感染源
第2中間宿主の生食 メタセルカリア（被嚢幼虫）経口摂取
虫卵
糞便、十二指腸液 28～32μm ミラシジウム 卵蓋は殻から横に突出しない
AMSⅢ
肝蛭
肝蛭
疾患
著名な好酸球増加を伴う 激しい心窩部痛、右季肋部痛、発熱
終宿主、寄生部位
ウシ、ヒツジの胆管
中間宿主
ヒメモノアアラガイ （セルカリアが遊出し水草などで被嚢メタセルカリアに）
第2中間宿主なし
感染源
水辺栽培植物の生食
ウシの消化管や肝臓の生食
虫卵
糞便、十二指腸液 150～190μm 最大 一方に小さな卵蓋
AMSⅢ
ウエステルマン肺吸虫
ウエステルマン肺吸虫
疾患
肺・・咳、血痰、胸痛
脳・・脳肺吸虫症 頭痛、嘔吐、癲癇
異所寄生
終宿主、寄生部位
ヒト 肺実質
待機（保有）宿主 イノシシ イヌ ネコなど
中間宿主
第1・・カワニナ （セルカリア）
第2・・モクズガニ、サワガニ （メタセルカリア）
感染源
モクズガニ、サワガニの生食
イノシシ（待機宿主）肉の生食
虫卵
喀痰、糞便 80～90μm 濃い褐色 前端に大きな卵蓋
卵殻厚い 左右非対称
皮内反応、X-P
宮崎肺吸虫
宮崎肺吸虫
疾患
好酸球増加を伴う気胸、胸水、胸痛
終宿主、寄生部位
イタチ、テン、タヌキ、イノシシ
中間宿主
第1・・ホラアナミジンニナ、カワネミジンツボ （セルカリア）
第2・・サワガニ （メタセルカリア）
感染源
サワガニの生食
虫卵
喀痰、糞便に認めないことが多い 70～77μm 前端に卵蓋 卵殻薄い
胸水 免疫的診断